阿吽の喧嘩。

矛盾してる。だが、それでいい。

「この話の主人公には共感できない」という感想に共感できない。

会社で「三分間待ってやる」というセリフが通じなかった。自分より少し年上で子供もいるんだからラピュタくらい知ってるやろうと高をくくっていた僕が愚かだった。
多少声も似せて言っただけに『は?』みたいな顔された時の衝撃は計り知れない…
僕の中でジブリ作品万能説が脆くも崩れ去った瞬間である。

もう、なんて言うか、『逆にバルス。』と心の中で唱えた事はよく覚えている。


ジブリの中でもラピュタがことのほか好きである僕は、もちろんムスカ派である。
ムスカジブリ作品の中では珍しく「最後までブレないヒール」であり、元々キャラがたっていたのも相まって大好きになった。
ナウシカクシャナ殿下(元々原作では良い人)や、もののけ姫のエボシさまも千と千尋の湯婆婆もカオナシハウルの魔女も最後の方にはなんとなく仲間っぽくなって話が終わるのに、ムスカ先輩は死ぬ直前までそのワルっぷりを曲げなかった。天晴れである。
ムスカのセリフだけなら全部言える、という訳の分からない自慢をよくしたものだ。

しかし、ムスカに共感できているわけではない。いきなりラピュタ王を名乗り出す、あの男の気持ちが僕に理解できるわけはない。『いやー、分かりますわぁ。やっぱりゴミのようだもん。』とは思わない。
むしろ自分とキッパリ正反対の事をあそこまでやってくれているから、安心して好きでいられるのだ。子供の僕がそこまで考えていたかは怪しいが、たぶん似たような構造で色んなストーリーの登場人物を好きになっていると思う。

現実の僕はというと、なかなか真面目な面白くはない人間で、犯罪をやらかせばご近所さんから『まさかあの人が…』という例文みたいな一言を頂けるくらいの自信はある。
小学生の頃、いつも遊んでいた仲良し3人組のうちの2人がおもちゃ屋さんから当時流行りのものを大人盗み(大人買いの窃盗バージョンである)して、「秘密基地」なる所であそんでいたのがバレて怒られたのを伝聞で知った事もある。
リーダー格の方の子の言い分では「カエルくんに教えたら親たちに告げ口される」ので僕は教えてもらえなかったらしい。もし、彼のその一言がなければ僕も共犯を疑われてもおかしくないくらい当時一緒に遊んでいただけに、それはそれでショックだった。
僕が「一辺倒の正義」に疑いをハッキリと持った瞬間である。
しかし、リーダー格の彼の判断は正しかったろうと思う。あれを知ったら当時の僕であれば結構悩んだ末に親に相談しただろう。それくらい、くそまじめだったように思う。

好き嫌いと共感は別だって話をするはずだったがただの真面目じまん になった。申し訳ないしだいである。