阿吽の喧嘩

人生と、そのしのぎ方と死に方と。

マジックとAIの相性を考えてみた。人工知能 VS マジシャンはそもそも成立するのか?

※この文章には、簡単な手品のネタばらし、というか純粋な意味でいうと「ネタとしてのテクニック」に言及しています。 一ミリたりともそういうネタバレは見たくない、読みたくないという稀有な方はこの記事に目を通さない事をおすすめします。

 

最近、 AI (人工知能)の事がよく取り沙汰される。どんどん人間の賢さに近づいており、いずれは追い越されてしまうという説も良くみる。シンギュラリティって言葉の響きだけ無駄に好き。

将棋に関してはとうとうプロの名人が負けてしまったし、囲碁は世界チャンピオンも倒されている。

そんな中で今回のタイトルのような事をふと思い浮かべた。

もっと詳しく言うと、一般の人が見ても全然見破れないレベルの一流のマジシャンのマジックを簡単に見破るようなAIを生み出したとして、そのAIは人間を超えたと言えるのか?という感じになる。

一応、このAIは人間と一緒に暮らし人間の生活全般を補助するアンドロイドという事にしておく。(いわゆる汎用AI)

手品、マジックの類は先入観や思い込みを利用してお客さんの予測を裏切る事で不思議な事が起こったような錯覚を体験させる。マジシャン側がどんなに恐るべきテクニックを駆使してもお客さんに先入観が無ければ手品は成立しない。

極端に言えば、手に握ったコインが勝手に消えるはずはないという『先入観』(一般常識全て含む)がマジシャン側と観客の共通認識として成立していないと、手を開いた時に空っぽでも『・・・で?』みたいな顔をされて終わる事になる。

 

 

 結論としては「賢さ」というものの定義をどう捉えるかという問題になると思うが僕の思うAIの凄みは何といっても「先入観にとらわれない」という点だ。 

これは、物事を省略して考えない(計算の過程を飛ばさない)という事を意味している。

AIの画像認識のレベルは上がってきているので、いずれは問題なくマジシャンのコインのやり取りを認識するようになるだろう。しかし、コインを左手から右手に持ち替えたと見せかけて、そのまま左手に隠し持っているのをAIはどう判断するのだろう。

人間であれば、『持ち替えたと見せかけて実は持ち替えない』などという動作は日常生活ではまず発生しないし、そんな無駄なコトが行われているとは普通思わない。この、『普通思わない』という所が先入観となって結果的にコインが消えたように錯覚する。これは人間の賢さ故で、無駄な情報は少しずつ自動処理できるようになるから日常生活も上手く回るようになっている。歯ブラシはどちらの手で持つんだったっけ?などと毎回考えなくてもよいのはこの機能のおかげ。

テレビでマジシャンが「実は賢い人ほどマジックにひっかかりやすいんです。」などと説明しているのを聞いた事があるが、この辺りの事を言っているのかな?と推察している。観客を不快な気分にさせずに演技を続けるためのリップサービス含めてだろうけれども・・

しかし一方、AIは思いこむという事はない。ただ、淡々とコインの受け渡しの瞬間を見たまま認識してこれまでのデータと照らし合わせ、右手に持っている可能性20%、左に持っている可能性80%と予測をたてるだけかもしれない。またはコインを視認できなくなった途端にコインの行く先などは無視するかも。処理速度にものを言わせ、出てきた瞬間にまたコインを視認すれば困らない。

手を開いて見せて『いえ、確かに右手にコインを握ったはずデス。もう1回お願いシマス。(懇願の表情)』と言い出すアンドロイドは右手にコインを握った可能性が100%と予測をたててしまって思考回路がショート寸前になっているわけだから、可愛げはあるが人間の生活を助ける汎用AIとしてはお粗末だ。 

つまりAIは見破る云々以前に観客として手品を楽しむという芸当ができない。

逆に楽しめてしまうと、それはそれで人間と同じ過ちをおかすAIなのだから人間を超えたとは言い難い。

そういう意味でAIvs マジシャンの対決は将棋などと違って成立しないだろう、と思っている。

トランプにサインしてもらって『これでこのカードと同じものは無いですよね?』と確認すれば

『いえ、ワタクシに命じて頂ければ何枚でも寸分違わずサインしてさしあげますよ?(スマイル)』と言われる日も近いのだ。

成立しなーい。

 

2018/04/06 追記

上記の文章を書いた数日後に

実はこんな記事が出ていた。

mainichi.jp

 

えらいことである。

自分はマジックを楽しめるAIは生まれないだろうし

楽しめるようなAIには問題があると思っていた。

しかし、人間の脳と同じように学習をもとに予測する機能を

たかめていくと「錯覚」を起こすようになったと!

 

これが進化すれば先入観をもってマジックの現象に驚くAIも

いつか完成するという事になる。

これは本当に驚いた。

こうなったらとことんいくだろう。

だまされるとか見破るとかでなく

マジックを演じて人間を驚かしてくれるアンドロイドも

出てきてほしい。マジシャンアンドロイド対決が見たい。

(結論がなんかむちゃくちゃになってしまったが、

 今回のこれとアメリカの自動運転の実験車による死亡事故で

 神レベルの安全性をほこる自動運転車が出てくるのは

 少し未来に遠のいたな、とも感じている。)